第1回でもお話ししましたが、
縁ディングノートに有価証券を書くとなると、 多くの方がここで手を止めてしまいます。

「評価額がわからない」
「毎日金額が変わる」
「正確に書けないなら、意味がない気がする」

こうした声は、とても多く聞きます。

 

ですが実は、 金額が書いていないこと自体は、 それほど大きな問題ではありません。

 

相続の現場で、 ご家族が最初に困るのは、 「いくらあるか」よりも、
この有価証券を、 どう扱えばいいのかわからない という点です。

 

たとえば、

 

・売却していいのか
・しばらくそのままにしておくのか
・誰が判断する前提なのか

 

こうした判断材料が何もないまま 有価証券だけが残されると、 家族は動けなくなってしまいます。

 

ここで、 一つ知っておいていただきたいことがあります。

 

投資は自己責任。
そう思って運用されている方は多いと思います。

 

ただし相続が起きると、
その「自己責任」は、
何の説明もないまま家族に承継されます。

 

評価額が書いてあれば安心、 と思われがちですが、 実はそうとは限りません。

 

金額を書いてしまうことの大きなデメリットは、
価格が変動したり、
生前に一部を売却していた場合、
縁ディングノートに書かれている金額ほど
残っていないという事態が起きることです。

 

これは、 家族の間で 「話が違う」「聞いていない」 という不信感を生み、 争いのもとになることもあります。

 

一方で、 評価額が書かれていなくても、 判断できるケースもあります。
その違いを分けるのが、
「金額以外の情報があるかどうか」です。

 

実際現場では

 

・どの証券会社を使っているのか
・ネット証券なのか、対面型なのか
・これまで誰がどのように管理してきたのか

 

こうした点がわからないだけで、 ご家族の負担は一気に大きくなります。

 

有価証券は、
預貯金のように 「引き出せば終わり」という財産ではありません。

 

判断を伴う財産だからこそ、 判断の前提がなければ、 誰も動けなくなるのです。

 

筆者は、 縁ディングノートに有価証券が書かれている場合、「金額」は確かでないものとして見ます。

 

それよりも、

 

・家族の中で、誰が判断できそうか
・そもそも家族が関与する前提なのか
・迷ったときに立ち止まれる余白があるか

 

こうした点を確認します。

 

同じ「有価証券」でも、 「家族が判断できる書き方」と 「判断できない書き方」があります。

そして残念ながら、 テンプレート通りに書いたことで、 かえって判断が難しくなってしまったケースも少なくありません。

縁ディングノートに 有価証券を書くときに大切なのは、 「金額を書くかどうか」ではなく、

 

この情報で、 家族は一歩目を踏み出せるだろうか?

 

その視点を、 少しだけ意識してみてください。
どうやって書いたらいいかわからない、この書き方で本当に大丈夫か不安な方は、
有価証券の承継・相続に強い縁ディングノートプランナー髙橋美春にご相談ください。

 

次回予告

 

※次回掲載日:7月21日
次回は、
「口座凍結=すべて止まる、は本当か?」
というテーマでお届けします。

 

亡くなったあと、
有価証券がどう扱われるのか。
相続の現場でよくある誤解について、 お話しします。