はじめに
皆様、初めまして。新米縁ディングノートプランナーの田島由衣香と申します。
私は4年前、祖父との別れをきっかけに自分史デザイナーとなりました。
当初は「自分史」や「終活」という言葉も知らず、「エンディング産業」に足を踏み入れるとも思っていませんでした。
ただ、「孫の私が欲しいと思ったもの」を、形にしようとしただけだったのです。そして「きおくあつめブック」と名付けました。
その後、エンディング産業界に仲間が増え詳しくなると、終活セミナー講師として活動するようになり、「終活は誰もが必要なことなのに、世間にはまだ浸透していない」という現実に直面しました。
そんなときに出会ったのが「縁ディングノートプランナー協会」でした。
そこには、私が “きおくあつめブック”を作り続けてきた信念と通ずる想いを持つ、素晴らしい方々が集まっていました。
協会理事の皆様もアルバムを見てすぐに共感してくださり、大盛り上がり。
その場で協業の話が立ち上がり、理事の寺門様から「縁ディングノートプランナー」の魅力を伺い、そのまま最短で資格講座を受講しました。
そんな素敵なご縁がつながり、今の私があります。
今回はその原点でもある、自分史作成サービス“きおくあつめ”が生まれた日のことをお話させていただきます。
おじいちゃんの葬儀での後悔
祖父のお葬式の日、飾られていたたくさんの写真を見て、私はふと立ち尽くしました。
写真の中の祖父は、私の知らないおじいちゃんばかりでした。
私は「おじいちゃん子」で、たくさん会話もしてきたつもりでした。
でも私が知っていたのは、祖父の“余生”であり、「人生の真っただ中」の姿ではなかったのだと気づいたのです。
どうしてもっと話を聞いておかなかったんだろう——。
そんな後悔と寂しさに包まれました。
記憶は語り継いでこそ、生き続ける
人は、どれだけ真面目に生きても、亡くなると生きていた事実さえ失われていってしまう。
でも、映画『リメンバー・ミー』のように、「思い出すこと」で、その人の記憶は生き続けることができるのではないでしょうか。
その後、祖父の遺品整理の中で、家族や親戚から話を聞くと、知らなかった祖父の姿がどんどん浮かび上がってきました。
みんなの記憶がよみがえり、笑ったり泣いたりしながら語り合う時間は、とても温かく、幸せなものでした。
最初の“きおくあつめブック”
私は美大出身のデザイナーとして、その“記憶をあつめ”、一冊のアルバムにまとめました。
孫として本当に知りたかったことを軸に、家族のルーツ、写真やエピソード、年表、家系図をわかりやすく丁寧にデザインしました。
「法事でしか会わないあのおばさん誰だっけ?」が解決できるように顔写真入りの家系図を作成し、
年表には祖父母や両親、孫たちの誕生日や記念日も記載しました。
生きている間も、亡くなった後も、家族みんながページをめくりながら「あのときこうだったね」と話せる、
“記録”ではなく“家族の宝物”のようなアルバムが完成したのです。
それが最初の「きおくあつめブック」でした。
おじいちゃんがくれた天職
後から知ったのですが、祖父の趣味は家系図作りだったそうです。
「きっと、おじいちゃんがこの仕事に出会わせてくれたんだ」
そう思えました。
祖父が生きているうちに作ってあげられていたら、どんなに喜んでくれただろう。
きっと、同じような思いを抱えている人が他にもいる。
そんな気持ちから、“きおくあつめ”というサービスを立ち上げました。
自分史は最高の贈り物
私たちはお客様のご自宅にお伺いし、孫や娘のような距離感で取材を行い、
家族の記憶をかたちに残すお手伝いをしています。
目を見て話を聞き、文章にまとめ、デザインの力で誰もが見て楽しめる形に変える。
ご本人に人生を棚卸ししていただくことで、その人らしさが言葉となって家族の中に残る——
私が目指しているのは、ただ“自分史を作成すること”ではなく、人生をご本人とご家族が“愛せるかたち”にすることです。
この仕事を続ける中で実感しているのは、人生を語ることが、
ご本人にとっての自己肯定感や、生きる力にもなるということ。
そして、それを知るご家族にとっても、何よりのプレゼントになるということです。
“記憶”を贈ることは、最高の仕事
モノもお金も持っているご高齢の方への贈り物に悩む方は多いと思います。
でも、“きおくあつめ”なら、
ご本人の歩みをかたちに残すことで、家族がその人を深く知る機会になり、会話が生まれ、
結果的に終活にもなり、“一生もの”の贈り物になります。
この仕事は、誰かの人生に寄り添い、感謝されるだけでなく、
自分自身の生きる知恵や勇気ももらえる、最高の仕事です。
全国展開へ。仲間とともに、次のステージへ
昨年からは「きおくあつめムービー」の制作も始め、カメラマンや先祖調査会社と提携し、より多様なご要望に応えられる体制を整えました。
NHKで特集していただいたことをきっかけに、全国に同じ想いを持つ記者とつながることができ、
現在は全国展開で自分史作成サービス『きおくあつめ』を運営しています。
私たちの理念に共感してくださる販売代理店様も、少しずつ増えてきました。
そして今、縁ディングノートプランナーとして、「自分の想いを、ちゃんと伝えることの大切さ」も、
この活動を通じて多くの方に届けていきたいと強く感じています。
“人生の棚卸し”と“言葉にすること”は、自分自身を癒すだけでなく、家族への愛情を形にし、残された方にとっての救いにもなる大切なプロセスです。
先日、制作チームにこう伝えました。
「お客様に“自分の人生って誇れるんだ”と思っていただきたい」
「きおくあつめに関わる全員が、“いい仕事をしてる”と胸を張って言えるようにしたい」
これからも“記憶”という名の宝物を、家族が愛せるかたちに変えて、
未来へ手渡すお手伝いをしていけたらと思っています。