はじめに

著者が縁ディングノートセミナーで一番力を入れているのが、歴史編です。

 

「マイヒストリー」と「ファミリーヒストリー」に分けてじっくりと取り組みます。これらは、それぞれ「自分の歴史」と「家族の歴史」を振り返るもので、過去と向き合うことで、50年、100年先まで笑顔が続くことができるのです。この振り返りを通じて、今自分がどこに立っているのか、そしてこれからどんな未来を描きたいのかを見つけることができるのです。

 

縁ディングノートのセミナーは、誰でも開催できますよ!!と縁ディングノートの講師である、縁ディングノートプランナーにも伝えています。

 

しかし、簡単なことこそ、そこに本当の思いが込められていなければ、その伝えたい思いは伝わらないのです。

 

著者自身が縁ディングノートのまさに歴史編を家族と取り組むことによって、小さな誤認や誤解がとけたこと、その絆が深まった経験があるからこそ、このノートが持つ力を実感しています。だからこそ、著者はこの縁ディングノートを全国に普及させ、より多くの人々が家族との絆を再確認できる手助けをしたいと考えています。

1.「1番古い記憶」

セミナーの中で、著者は参加者に「1番古い記憶は何ですか?」と問いかけます。この質問は本当に最古の記憶を思い出すことがゴールではありません。記憶を遡ることによって、さまざまな記憶を呼び起こすことが大切なのです。この問いを通じて、過去の出来事がどれほど深く自分の中で意味を持っているのかを改めて感じることができます。記憶を振り返ることは、自分がどう歩んできたか、そして家族とのつながりがどう形成されてきたのかを理解するための第一歩となります。

 

著者の一番古い記憶は、1985年8月15日、太陽の光が水面にキラキラと輝いている中、にこにこしながらボートを漕いでいる父の姿です。当時、著者はまだ3歳でした。この記憶がなぜ日付までわかっているかというと、母に著者の一番古い記憶について話したからです。その時、母が教えてくれたことで、著者の記憶がはっきりと日付と共に結びついたのです。

 

母は続けてこう話してくれました。1985年8月12日に起きた日航機墜落事故。当時、父の兄は日本航空に勤めていました。その日、御巣鷹山で日航機が墜落したというニュースを聞き、今のように連絡手段が整っていなかった時代、家族は情報を得ることができず、連絡が取れないまま不安に駆られていました。そんな中、心配した父は、安否を確認しようと、家族を連れて御巣鷹山に向かったものの、道はすでに交通規制により塞がれており、目的地にたどり着くことはできませんでした。

 

その帰り道、わけもわからず飽きてしまった子供たちのために、松原湖に立ち寄り、ボートに乗ったというのです。あの静かな湖面で、家族全員が過ごした時間はそんな背景があったのだとあとから知ることができました。

 

しかし、先日、写真を見ていたら、現場に向かったのは8月13日だと思っていたのが、実際は8月15日だったことに気づきました。そして、ボートに乗ったのは父と著者だけだと思っていたのが、実は母と妹も一緒に乗っていたことがアルバムからわかりました。

 

頭の中の記憶というのはいつも曖昧です。事実を知ることが全てではありません。ただ、同じ出来事を体験しているからこその共有は、家族にとって、また、長い関係を築いてきた大切な人との関係性において、「思い出の共有」は絆を深める大切なポイントとなります。

 

その記憶が時を経て新たに明らかになるたびに、大切な人との記憶が繋がり、深まっているのかを実感しました。記憶が交わり、確認されることで、お互いの理解がさらに深まり、絆が強くなることを心から感じました。

2.家族の記憶が繋がる瞬間

同じ出来事も家族それぞれ捉え方や記憶が異なります。時には思い出を一緒に振り返ることで、思い違いや誤解を修正することができます。それが、争族を防ぐことにも繋がるのです。家族で共有する記憶が、過去の出来事や感情の誤認を解消し、相互の理解を深める大切な手段になることを実感しています。

 

著者の中では、単なるイメージ図でしかなかった思い出が、母と一緒にその出来事を振り返った時、より鮮明になり動き出したのです。家族の記憶は、ただの過去の出来事を超えて、私たちを強く結びつける「縁」を作り出していることを実感しました。

 

私たちが共有した記憶こそが、これからの未来をより豊かにし、互いに支え合い、守り合う力となるのです。その力は、私たちを強く、優しく、そしてしなやかに繋げてくれます。記憶を振り返ることで、ただの思い出が家族の「絆」という形に変わり、その絆が私たちをもっと深く結びつける力を持つことを、心から実感しました。

 

3.縁ディングノート歴史編に込めた思い

縁ディングノートは、単なる記録を残すためのツールではありません。それは、私たちの過去を振り返り、心の奥底で深く感じてきたことを再認識するための大切な手段です。縁ディングノートを通じて、自分がどれだけ愛されてきたのか、どれだけ支えられてきたのかを深く知ることができ、家族との絆を再確認する力を与えてくれるのです。このノートに記す一言一言が、過去の出来事を紐解き、次の世代へと繋がる大切な歴史を作っていくのだと著者は信じています。

 

「マイヒストリー」や「ファミリーヒストリー」を振り返ることで、どれほど大きな愛を受け、またどれほど深く絆を結んできたのかが、鮮明に浮かび上がります。それは、ただの過去の思い出ではありません。それは今、そして未来へと繋がる「力」であり、人生を彩ってきたものなのです。この力を次の世代へ繋げていくことが、縁ディングノートの本当の力だと著者は強く感じています。

 

もし少しでも書きたくなったら、どうかお声かけください。書き始めることで、心の中の大切な思い出や愛、家族との絆が、未来に向けて力強く繋がっていきます。その一歩を踏み出すことで、新たな「縁」を繋ぐ力が生まれるのです。

 

著者はこの縁ディングノートが、参加者一人一人の心に深く残り、自分を見つめ直し、家族との絆をより強く深めるための力になると信じています。そして、これからの人生がより豊かで、温かいもので溢れるように、一人でも多くの方が一歩踏み出してほしいと思っています。(文責:理事 髙橋美春)