1.キャリアは「仕事」だけではない

皆さんは、「キャリア」という言葉から何を思い浮かべますか?

仕事の経歴、転職、昇進、資格取得などをイメージされる方が多いのではないでしょうか。

 

私は国家資格キャリアコンサルタントとして、転職や再就職、働き方に悩む方々のご相談をお受けしています。

キャリアコンサルティングというと、仕事に関する相談だと思われがちですが、実際にはそれだけではありません。

 

キャリアとは、単なる職歴や仕事の積み重ねではなく、人生の中で経験してきたさまざまな役割や、人との関わりを含む、もっと広い意味を持つものです。

 

仕事をすること、家族を支えること、子どもを育てること、地域で活動すること、趣味を楽しむこと。

 

そうした一つひとつの経験が、その人の人生を形づくっています。

 

そして、キャリアコンサルティングでは、これまでの経験を振り返り、自分が何を大切にしてきたのか、これからどうありたいのかを一緒に考えていきます。

 

実は、この考え方は、縁ディングノートととてもよく似ているのです。

2.人生を振り返ることで見えてくる、自分らしさ

キャリアコンサルティングでは、これまでの人生を振り返ることがあります。

 

例えば、
「これまでの人生で、嬉しかったことは何ですか?」
「大変だったとき、どのように乗り越えてきましたか?」
「どんな人との出会いが、自分に影響を与えましたか?」
「これまで大切にしてきたことは何ですか?」
こうした問いかけを通じて、自分自身を見つめ直していきます。

 

日々の生活に追われていると、自分の歩んできた道をゆっくり振り返る機会は、意外と少ないものです。

 

けれども、過去の出来事を一つひとつ思い出していくと、忘れていた経験や、自分でも気づかなかった強み、大切にしてきた価値観が見えてくることがあります。

 

誰かのために一生懸命になった経験。
困難な状況でも、何とか乗り越えてきた経験。
人との出会いによって、新しい世界が広がった経験。

 

そのときは当たり前だと思っていたことも、振り返ってみると、今の自分を支える大切な財産になっていることがあります。

 

縁ディングノートにも、これまでの人生や大切な人との思い出、自分自身の想いを振り返る機会があります。

 

過去を振り返ることは、過去に戻ることではありません。これからの人生を考えるための手がかりを見つけることなのだと思います。

3.人生の転機は、自分を見つめ直すチャンス

私は、特に40代、50代の女性から、仕事やこれからの生き方についてご相談をいただくことがあります。

 

この年代は、仕事だけでなく、家族や暮らしにも変化が訪れやすい時期です。

子育てが一段落してきたと思ったら親御さんの介護が始まる方もいますし、仕事での役割が変わる方もいます。

 

そのように、これまで当たり前だった日常が変化することで、ふと立ち止まる方は多いです。

 

「このまま今の仕事を続けていていいのだろうか」
「これからの人生、自分は何をしたいのだろう」
「家族のために頑張ってきたけれど、自分自身のことも考えたい」

 

こうした想いをお話しいただくことがよくありますし、そのためのキャリアコンサルティングでもあるのです。

 

転職や再就職のご相談であっても、じっくりお話を伺っていくと、仕事の選択だけでは解決できない悩みが見えてくることもあります。

 

仕事と家庭のバランス、収入や将来への不安、自分が大切にしたい時間、これからどんな人と関わっていきたいのか。

 

つまり、仕事について考えることは、これからの人生全体を考えることにもつながっているのです。

 

そして、それは40代、50代に限ったことではありません。
人生には、何度も自分自身を見つめ直す機会が訪れます。

 

そんなとき、縁ディングノートを開き、自分の歩んできた道や大切にしてきたことを振り返ってみる。

 

それが、これからの生き方を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

 

4.「これからやりたいこと」に目を向けてみる

縁ディングノートというと、相続や財産、医療や介護、葬儀など、人生の終わりに向けた準備をするものと思われるかもしれません。

 

もちろん、そうした備えはとても大切です。

 

けれど、私が縁ディングノートの魅力だと感じているのは、これまでの人生を振り返るだけでなく、これからの人生についても考えられることです。

 

「いつか行ってみたいと思っていた場所がある」
「ずっと興味があったことを学んでみたい」
「これまでの経験を、誰かの役に立ててみたい」
「家族や友人と、もっと一緒に過ごす時間をつくりたい」

 

そんな想いが浮かんでくるかもしれません。

 

大きな目標である必要はありません。

 

新しい趣味を始めてみる。
久しぶりに友人に連絡してみる。
興味のある講座に参加してみる。
今までとは違う働き方を考えてみる。

 

小さなことでも、自分の気持ちに気づき、一歩踏み出すことには大きな意味があります。

 

キャリアコンサルティングでも、これまでの経験や強み、価値観を整理した先に、「では、これからどうしたいですか?」という問いがあります。

 

過去を振り返り、今の自分を知り、未来を考える。

 

私は、この一連の流れが、縁ディングノートとキャリアコンサルティングに共通する大切な部分だと感じています。

 

5.自分らしい人生を、自分で選んでいくために

人生の選択に、誰にでも当てはまる正解があるわけではありません。

 

何を大切にして、どのように生きていくかは、一人ひとり違います。

 

大切なのは、周囲の期待や世間の価値観だけにとらわれず、自分自身の想いに気づき、納得して選んでいくことではないでしょうか。

 

キャリアコンサルティングも縁ディングノートも、誰かが人生の正解を教えてくれるものではありません。

 

自分の歩んできた人生を認め、自分が大切にしていることを知り、これからの人生を自分らしく選んでいく。そのためのきっかけを与えてくれるものだと思います。

 

そして、縁ディングノートには、もう一つ大切な役割があります。

 

それは、自分の想いを言葉にし、大切な人と分かち合うことです。

 

これまで支えてくれた人への感謝。
自分が人生で大切にしてきたこと。
これから実現したいこと。

 

そうした想いを伝えることが、家族や大切な人との新しい会話につながり、これまで築いてきたご縁をさらに深めることにもなるでしょう。

 

人生の終わりに備えることも大切ですが、私はそれと同じくらい、今をどう生きるか、これからをどう生きたいかを考えることが大切だと思っています。

 

皆さんも、縁ディングノートを開き、少しだけ自分自身に問いかけてみませんか。

 

「これまで、どんな人生を歩んできましたか?」
そして、
「これから、どんな人生を歩んでいきたいですか?」

 

その答えを探す時間が、これからの人生をより豊かにする第一歩になるかもしれません。

 

 

(文責:理事 三橋 久美子)