縁ディングノートに
「不動産」や「預貯金」のページは書いても、
「有価証券」は空白のまま、という方は少なくありません。
理由を聞くと、だいたいこう返ってきます。
- ・金額がよくわからない
- ・毎日変わるから意味がない気がする
- ・なんだか難しそう
ですが、相続の現場で実際に困るのは、 金額が書いていないことではありません。
一番困るのは、 「持っていること自体を、家族が知らない」 というケースです。
日本証券業協会の調査によると、 日本国内の証券口座数は39,752,871口座(2025年6月時点)あります。
証券会社ごとの口座数を見ると、
- ・SBI証券:約 1,331万口座
- ・楽天証券:約 1,133万口座
一方で、
- ・野村證券:約 588万口座
- ・大和証券:約 317万口座
- ・SMBC日興証券:約 396万口座
となっています。
※なお、証券会社が公表している口座数には、 預かり資産がない口座も含まれていると考えられるため、 単純な比較はできません。
それでも現在は、 ネット証券の口座数が圧倒的に多いことがわかります。
この違いが、 相続の場面では大きな意味を持ちます。
ネット証券は、 基本的に郵送物がありません。
残高のお知らせも、取引報告書も、 すべてオンライン上で完結します。
つまり、
本人が何も残していなければ、 家族がその口座の存在を知る手段がない可能性がある
ということです。
有価証券は、 不動産のように登記があるわけでもなく、 預金のように通帳があるわけでもありません。
そして、亡くなったあとも 株価や投資信託の価格は動き続けます。
このとき、縁ディングノートに
- ・どの証券会社で口座を開設しているか
- ・どんな種類の有価証券を、どれくらい持っているか
こうした「情報」があるかどうかで、 ご家族の負担は大きく変わります。
縁ディングノートに 有価証券を書くことは、 資産額を伝えることではありません。
「ここにあるよ」 と示す、地図を残すことです。
しかし、 「縁ディングノートに有価証券が書いてあったのに、 逆に家族が困ってしまった」
というケースもあります。
たとえば、
- ・情報が古すぎて、実態と合っていない
- ・書いてある内容の意味が、家族に伝わらない
- ・書き方ひとつで、判断が分かれてしまう
こうした場面に、 筆者は相続の現場で何度も立ち会ってきました。
有価証券は、 「書いてあれば安心」ではありません。
どこまで書くか。 どんな言葉を選ぶか。
それによって、 家族の判断や、その後の流れが変わることもあります。
だからこそ筆者は、 縁ディングノートを見るとき、金額ではなく、
- ・どの証券会社を使っているか
- ・どこまで家族が関与できそうか
こうした点を確認します。
同じ「有価証券」でも、 同じ書き方が通用することは、ほとんどありません。
縁ディングノートに 有価証券を書くかどうか迷ったときは、 「書く・書かない」ではなく、この書き方で、家族は判断できるだろうか?
その視点を、 頭の片隅に置いていただければと思います。
どうやって書いたらいいかわからない、
この書き方で本当に大丈夫か不安な方は、
有価証券の承継・相続に強い縁ディングノートプランナー
髙橋美春にご相談ください。
次回予告
※次回掲載日:5月26日
次回は、
「有価証券は、金額を書かなくていい。
でも“これ”がないと詰む」
というテーマでお届けします。
縁ディングノートに何を書けばいいのか、
判断に迷いやすいポイントを、
相続の現場目線でお話しします。