2025年、どんな一年でしたか?
早いもので、今年担当する最後のコラムとなりました。
皆さんにとって、2025年はどんな一年だったでしょうか?
この一年も、縁ディングノートを通じて多くのご縁をいただき、とても幸せな時間でした。
大切な人との別れを経験し、まるで藁をも掴むような気持ちで始めた縁ディングノート。
けれど、それはただの「記録」ではなく、自分の人生を加速させ、そして共に歩む「道しるべ」となっていきました。
今では、この縁ディングノートと深く関わる仕事をさせていただき、本当に幸せだと感じることが増えています。
「縁ディングノートのいらない世界」を目指して
世にある多くのエンディングノートは、「自分が亡くなったあと、大切な人が困らないように」という目的で作られています。
それは確かに、遺された人のためには役に立つでしょう。
ですが、理事という立場でありながら、あえて言わせてください。
本当に創りたいのは、「縁ディングノートのいらない世界」です。
それは、大切な人との想いが、ノートを介さずとも家族の共通認識として受け継がれ、遺された側が迷うことなく、その想いを受け取れる世界。
「何を望んでいたのか」「何を大切にしていたのか」——それが、自然と共有され、語り継がれていく社会。
もし、そういう世界が実現できたなら、縁ディングノートは必要なくなるのかもしれません。
「想いを遺すこと」と「想いを受け取ること」
著者は15年前に父を亡くしました。
当時、「エンディングノート」という言葉すら存在していませんでしたが、それでも父からの想いをしっかりと受け取り、満足のいく承継をしてもらいました。
それはなぜか?
「遺したい思い」と「受け継ぐ側の思い」が一致していたから です。
おかげで、家族は感謝の気持ちで父を見送ることができました。
しかし、相続という世界に身を置くようになり、気づかされたことがあります。
それは、「遺す側」と「受け継ぐ側」のベクトルが揃っていないことが、驚くほど多い という現実です。
この状態のまま、縁ディングノートを書いても、遺言書を残しても、本当の意味での承継や相続は成り立ちません。
縁ディングノートは「気づき」のきっかけ
関係が崩れてしまった家族が、たった一冊のノートで一瞬にして修復できるわけではありません。
でも、そのきっかけにはなれる。
だからこそ、まずは「縁ディングノート」を、自分を見つめなおすツールとして使ってほしいのです。
かつての自分は、自己肯定感が低く、「悲劇のヒロイン」を演じてばかりいました。
でも、縁ディングノートと出会い、自分の生い立ちや歩みを振り返ることで気づいたのです。
「どれだけ愛されていたのか」
「どれだけの想いを受け取っていたのか」
両親から、親戚から、たくさんの愛情を注がれていたことを知り、目の前の世界が変わりました。
「欠けたもの」ではなく「満ちているもの」に目を向ける
ここに、一枚の絵があります。

二つの円が描かれているとしたら、皆さんはどちらの円が気になりますか?
おそらく、多くの人が「欠けた円」を選ぶでしょう。
それは、ゲシュタルト心理学でいう「欠けた部分に目がいく」という人間の習性です。
でも、よく見てください。
欠けていない部分の方が圧倒的に多いのです。
縁ディングノートは、この「満ちている部分」にスポットを当てるためのノートです。
過去を振り返ったとき、「なかったもの」ではなく、「あったもの」に目を向けること。
それだけで、今が変わるのです。
「足りない」と嘆くのではなく、「すでにあるもの」に気づけるようになると、小さなことにも幸せを感じられるようになります。
当たり前が当たり前でなく、かけがえのないものだったと知ることができます。
大切な人との縁がこじれた時に
家族ではないものの、大切な人との縁がこじれてしまったことがあります。
「本当はこう思っていたのに」「どうして伝わらなかったのだろう」——後になって、そんな後悔が何度も押し寄せました。
でも、感情の行き違いが積み重なった関係は、簡単には修復できません。
その時に「縁ディングノート」と向き合ってどうしたいか、どうなりたいかを模索し、この業界で立派に成長できた時に謝罪と感謝を伝えに行こう、その前にどちらかがこの世を去っても、それは自分が足らなかったのだと認めようと決めました。
自分の気持ちを整理し、冷静に過去を振り返ることで、こう決めることができたのです。
「縁ディングノートで関係を取り戻しましょう」と言われても、すぐに動ける人ばかりではありません。
でも、まずは**「自分のための縁ディングノート」** から始めてみませんか?
年末年始は、一年を振り返る絶好の機会です。
このタイミングで、「自分を知る」ための縁ディングノートを書き始めてみてください。
そして、その輪を少しずつ広げていってほしいのです。
ご縁に感謝を込めて
皆さんの人生が、より豊かなものになりますように。
今年もたくさんのご縁をいただき、本当にありがとうございました。
お一人お一人と出会えたこと、再会できたこと、そして感謝の気持ちで別れを迎えられたことに、心から感謝いたします。
どうか、良いお年をお迎えください。
(文責:理事 髙橋美春)
